2010020710年来の友人たちと、水道橋駅前の居酒屋で数年ぶりの宴を催した。メンツは4人。僕が最年少、最年長はおよそ50歳で、仮にK氏としておく。


このK氏、ボクシング界ではけっこうな名物男で、若かりし頃から「ボクシングを観る」という行為に、時間もお金も情熱も惜しみなく投じ続けて現在に至る。同好の士とはありがたいもので、一回り以上も年齢差がありながら、親友と呼べる間柄がかれこれ15年近くも続いている。


ボクシング会場での動画撮影が許されていた時代には、観戦するすべての試合を収録してストックし、ムービーカメラの持ち込みが制限されるようになってからは、スチール写真を撮りまくっているK氏。それらの作品の多くはウェブ上で公開され、選手や関係者、ファンを喜ばせ、やがてK氏は業界で重宝される存在になった。このK氏のファンというのもきっと少なくないと思う。僕自身もボクシング関連記事を手がける際に、何度となく彼の写真のお世話になっている。低予算ゆえ謝礼を支払えないケースが大半だが、常に二つ返事で写真の使用を許可してくれるK氏は、その寛容な性格とともに、ボクシングへの深い愛情を感じさせる。ボクシング振興のために、少しでも自分の写真が役立つなら…というスタンスが、明言されずとも見て取れるのだ。


ほどなく50歳を迎えようとする今日も独身でいるK氏。かといって色恋に枯れた日々を送っているわけでは断じてなく、むしろお盛んな部類だろう。この日も水道橋の宴席で、「じつは今、ちょっと気になってる女性がいる」と言い始めたのだから、我々としては格好の肴を与えられた形である。「どんな人ですか?」「今ここに呼びましょう」「電話してください」のコールに押され、意中の女性に電話をつないだK氏。酔っ払っているくせに、まずは穏やかに先方の近況を尋ねる紳士ぶりは、さすが年の功と感心したものだ。


ところが。どこでどういうスイッチが入ったのかは不明だが、K氏は我々を目の前に、ビール片手のまま相手の女性に「愛の告白」を実演。これには3人揃ってぶったまげた。もちろん悪ふざけ、悪ノリの類いではなく、口調は誠実そのもの。K氏らしさあふれる求愛行動であった。想いは相手にちゃんと伝わったのではないかと思う。


その場で回答を得ることはできなかったようで、即祝杯というわけにはいかなかったが、こんな50歳の存在は、同じ男子として大変に心強い。K氏の挑戦は今なお続行中だ。我々は吉報を心待ちにしている。