2010年5月31日(月)
福岡に来ています。聖福寺というお寺で3カ月に一度福岡の街の活性化のために塾をやっています。「博多ZEN塾」というのは、このお寺が栄西によって日本で初めて開かれた臨済宗名刹だからです。また、仙涯和尚が住職を務めていたことでも有名です。毎回多彩なゲストをお招きしていますが、今回は林原美術館館長で、静岡文化芸術大学学長の熊倉功夫先生に来ていただきました。というのも、栄西がここで茶の湯を中国から日本に伝えたからであり、熊倉先生は茶の湯研究の第一人者だからです。
90年代から2000年代初めまで、僕は裏千家の故伊住宗匠とグラフィックデザイナーの故田中一光氏とともに10年近く茶の湯の改革運動として「茶美会」というイベントを手掛けていたのですが、熊倉先生にはさまざまな形で応援していただきました。尊敬する熊倉先生と久しぶりにお会いし、また、白峰ご老師も参加されるということで、汗が出まくりましたが、熊倉先生の軽妙なお話しぶりに魅了され、幸せな時間を過ごさせていただきました。
先生にお願いしたのは、栄西と博多の豪商で千利休にならぶ安土桃山時代の茶人であった神屋宋湛についてのお話ですが、その理由は博多の茶の湯の歴史と誇りを福岡の人たちに思い出してほしかったからです。博多の豪商たちは実は中国の商人を含めて、現在まで続く日本文化の成立に大変大きな役割を果たしているのです。そして、博多の人たちは江戸時代が終わりを告げるまで町人による自治という形でその伝統を守り抜きました。
講演後、ご老師とともにパネルディスカッションをしていただきましたが、現代における茶の湯や禅の在り方について、とても素晴らしいものになりました。満員以上のお客さんも満足された、と信じています。

中州には博多座の歌舞伎興行を告げる船も出ていました(^'^)

尊敬する熊倉先生

美しい聖福寺

満員以上の来客でした

当日のみの松露と名付けられたお菓子
2010年5月24日(月)
Art Go Roundの〆で明和電機にパフォーマンスをやってもらいました。久しぶりにフルパフォーマンスを見ましたが、進化していてビックリ!!またどこかでやりたいと思ってしまいました。参加された方々は本当にラッキーだったと思います。おかげさまで、Art Go Roundも大盛況。QRマンスタンプラリーも商品がなくなってしまいました。このイベントで富山市民の間に感情線が環状化されたとしたら幸せなことです。スタッフと関係者の方々本当にありがとうございました。

最高のライブ!

満員のお客さん

進化してます

ノッテマス

満足です(^'^)
2010年5月23日(日)

アートなまちづくりについて語り合いました

環状線でトーク(^'^)

- インタラクティヴアートシアター

本木克英監督と無菌ガールズ

大手モールの映像上映

明和電機ミニライブ
ようやく前夜祭と初日を終了しました。盛況でホッとしています。
前夜祭は、学生たちのクレイアニメアートの上映と、インタラクティヴアートシアターの開幕、市長を交えてのディスカッション、大手モールの映像コンテンツの上映など盛りだくさんでしたが、途中で赤松さんや河口さんが次々と到着し、会場は大いに盛り上がりました。大手モールも20mx30mの大画面での上映に市民もビックリ!楽しい夜でした。
初日は、特別参加した本木監督、到着した隈研吾を交えて「未来にあるべきコミュニケーションの姿」と称して、まちづくりのディスカッション。話の間で聴衆とともに環状線特別列車に乗って、「セカイカメラ」体験のために市内を一周。その模様をグランドプラザで実況中継して、また、帰ってトーク、という忙しいものでしたが、隈ちゃんは回転焼きを持ち込んで聴衆に配るなど、ピクニック気分でとても楽しいものになりました。話の内容もインターネット時代のまちづくりとアートというサブジェクトにあった有意義なものでした。
そのあとは河口洋一郎の宇宙時代のアートの講義。アートはサバイバルだ!とのたもうた後に、居酒屋で黒むつの内臓と頭を食らって、東京に帰って行きました。富山の皆さんも超刺激的な話に感激(?)されたに違いありません。夕方には明和電機が到着。明日のライブに向けてセッティング。ぶっ飛んだものになりそうです。
夜、大手モールが点灯した後、ライブハウスに明和電機が突撃ミニライブ!CCBのカバーは最高でした。
いよいよ明日まで、芸術環状線は走ります。(本来は芸術感情線なのですが、どこかで間違ったみたいで、残念です)
2010年5月20日(木)
「Art Go Round 富山芸術環状線」のオープンもいよいよ明日が前夜祭。会場制作も佳境に入っています。富山市で実現した路面電車の環状線化を記念したこのイベントは、街をアートで活性化しようという試みです。会期中、このために集まった最先端のアーチストが様々な形で市民の輪を広げ、心をつないでいきます。全国一過激で大胆な森市長はまちづくりのゴールは人による活性化だ、といつも言っていますが、アートはそういう力を持っている、と思っています。
まず、スタート地点のグランドプラザではアルスエレクトロニカなどで活躍する西島治樹や先週の世界工芸トリエンナーレにも出品した加藤良将らのインタラクティブアートが隈研吾、横山天心設計のテンポラリーミュージアムで披露され、来訪者に「つながる」楽しさを伝えてくれますし、明和電機はオタマトーンオーケストラを市民と組織し、商店街に出発します。300インチビジョンでは河口洋一郎のCGが上映され、赤松正行は市民によって町中張り巡らされたAir Tagをたどって、市民や学生と街の冒険に繰り出すでしょう。一方、スタンプラリー参加者は街を巡る「QRマン」を追跡し、QRコードをget。すてきなサプライズが待っています。夜には、大手モールの大壁面に河口洋一郎を始め文化庁メディア芸術祭や長崎・富山水辺の映像祭受賞者作品が上映されますが、ディレクションは映画監督の本木克英と西島治樹が担当しています。「環状線ラブストーリー」と題した学生によるアニメ作品も紹介されルるとになっています。
さらに、22日、隈研吾が到着した後は全員参加のシンポジウムを開催しますが、なんと参加者全員を乗せて環状線臨時電車が出発します。そして、電車内のイベントの模様はライブカメラで中継されます!!!当然、セントラム隈号と長友号は連日市内をぐるぐる回って市民の目を楽しませています。
それにしても、長友さんのポスターはすばらしいなぁ。メディアで伝えたいこと、アートで伝えたいことを一枚で表現してくれています。参加したボランティアの学生たちもこのロゴを身につけて頑張っています。この週末富山にきたら是非立ち寄ってください。
www.agr-toyama.com

環状線 隈号@富山城

テンポラリーミュージアム制作中

環状線 長友号@グランドプラザ
2010年5月19日(水)
長崎県美術館館長時代から地方での人材育成とコンテンツ集積&利活用を目指して、「水辺の映像祭」というものをプロデュースしています。今では、富山にも飛び火して、「長崎・富山水辺の映像祭」として、日本でも唯一つのネットワークを利用したコンテンツ共有型の映像祭になりました。それぞれ、大学生たちのコンソーシアムを組織して、ブラッシャーの長友啓典さんや映画監督の本木克英さん、CGアーチスト河口洋一郎さん、明和電機さん、NHKの中谷英さんらに作品選考をしてもらっています。また、長崎のアーケード街を動画映像で埋め尽くす「カレ・デ・ルス」やリアル、ネット、ケーブルという複数のコミュニケーションツールを利用した「スパイラル・トーク」など、審査員やゲストも参加して、楽しいイベントとなっていますが、人材発掘から、地域独自のコンテンツの制作や地域間のコンテンツ共有、インターネットとケーブルテレビを利用した配信など実験的な事業にもチャレンジしています。
今回の「金沢・世界工芸トリエンナーレ」にもその仲間たちが数多く訪ねてくれました。昨年富山水辺の映像祭でグランプリを獲得した正田行宏くんもその一人、昨年からの企画でグランプリ受賞者には長崎、富山それぞれの地域コンテンツを生かした作品作りをお願いしていますが、彼は「おわら風の盆」とヒップホップミュージックを掛け合わせた作品を考えているみたいで、只今学生ボランティアたちとロケハンを重ねています。最先端の映像作家が地方の文化を作品にしてくれるなんて、素晴らしいことです。今回、坂本龍一さんのツアードキュメンタリーフィルムを制作したばかりなのに駆けつけてくれました。今週の「富山芸術感情線 Art Go Round」にも来てくれるそうです。映像祭出身でミスチルのPVやSMAPxSMAPのタイトルバックを作った岩井澤くんとともに大いに期待しているアーチストです。

庄田くんと

長崎・富山水辺の映像祭メンバーと作家たち

長友啓典さんデザインのAGRポスター
2010年5月11日(火)

リファーレブース

橋本夕起夫

釋永 陽

21世紀美術館

加藤良将
「世界工芸トリエンナーレ」がようやく開幕しました。何とか満足のいく展示になったと思います。いくつになっても人任せにできない性分で、気づいてみれば新緑の美しい季節になっていました。かかりきりになるスタッフの人たちにも迷惑をかけてしまったと思いますが、僕たちキュレーターの仕事は作品という作家の命を預かるものです。彼らに納得してもらいながら、彼らの思う以上のものにならなければなりませんし、彼らの魂を見る人に伝えなければなりません。因果な仕事ですが、それだけに伝わった時には喜びもあります。
特に今回のように、これは!と見込んだ若い才能たちが巨匠たちの作品に交じって輝きを放った時には、しみじみと満足感がわきあがってきます。若い作家たちと共生を許容してくれた今泉今右衛門、中村信喬、橋本夕起夫といった巨匠たちと、何よりも作品の中に全体を配置するという暴挙を受け入れてくれた隈研吾に感謝しています。工芸作品は一つ一つが独立して存在しているとは思いません。生活という状況を通して時代や普遍をつながりあって表現していると思っています。隈研吾はその見えない全体を見えるようにしてくれました。
21世紀美術館で行われたシンポジウムやレセプションも大盛況でしたが、富山や福岡からも多くの友人たちが訪ねてきてくれました。嬉しかったのは、たまたま見に来ていた中田英寿さんが植埜さんに熱心に作品のことを聞いてくれたことでした。無名の作家たちにとって、世界で活躍する人からの興味はどれほど力になることでしょう。夕食も一緒しましたが、中田さんはすべてのことに真摯に取り組んでいる、とても素敵なナイスガイでした。
オープニング当夜は同じくキュレーターを務めた大樋年雄君や金澤、福岡の友人たちと片町、主計町、東茶屋街と飲み歩き、記憶を喪失しましたが、秋元館長と同じく20年来の友人と一緒に仕事ができるのはとても楽しいことでした。
最後に素晴らしいスタッフとボランティア、展示を可能にしてくれた企業
の方々に心から感謝をささげたいと思います。みなさん彼らのためにもぜひ見に来てくださいね。

キュレーターシンポジウム
さあ、次は富山のArt Go Roundです。
2010年5月5日(水)
世界工芸トリエンナーレの準備も始まり、リファーレにこもって準備してます。21世紀美術館の秋元さんはじめキュレーターの個性がみな違うので、なかなか面白い展覧会になりそうです。僕の展示テーマは「守破離」。コンセプト文にも書いてますが、伝統の形を変えても変わらない日本工芸の精神性を持つ作家たちを選んだつもりです。明治以降、西洋から芸術概念が輸入され、芸術のための芸術という思い違い故なのか、日本文化が従来持っていた柔軟な思考や生活に即した美学が軽んじられてきたように思います。美術工芸という呼び方で生活から隔離するような考え方は日本における美の在り方とは異質なものではないでしょうか。日本の伝統工芸の特徴として、「用の美」とよく言われますが、それは通常道具的な「用」と理解されています。しかし、僕は心のための「用」でもあると思っています。生活や人生のプロセスにおいて、身近な「美」はどれほど心の支えになってくれるか知れません。日本人が作り出した「町人文化」と精度の高い伝統技術は、美しいものをすべての人に手軽に供給する質ある量の実現を可能にしたのです。
今回紹介した作品群は、人が必要とするすべての状況において、美を提供してくれるものであると信じています。僕も展示しながら、つくづく良いものに囲まれて幸せだなぁ、と改めて感じています。明日から21世紀美術館の展示も始まりますが、どこにも行けないけど、今の僕には最高の連休なのだと思っています。
拙文ですが、コンセプト文を掲載しておきます(^’^)
10の守破離
「守破離」という茶の湯の言葉がある。
「規矩作法守りつくして破るとも離るるとても本を忘るな」
近代産業革命以降、加速度的に消失する地理的時間的距離が、固有の文化を見失わせ、統一的な美学を模索したとは言え、各地域文化は決して同一化することはできなかった。その問題の解決に対する示唆にこれほどふさわしい表現はないだろう。本を忘れた文化は存在理由をなくしてしまうことと同様に時代に合わせて変化することもまた必然のことである。
私たちが培ってきた「美」である「工芸」は、今、この亀裂に悩んでいる。普遍的に理解される「美」となるために、「芸術」化していくのか、「地域文化」であり続けるために継承しながら独自の道を進み、新しい「価値」を創造していくのか、まだその先は見えない。
おそらく、その糸口は「継承」、「革新」、「逸脱」、「翻訳」というようなキーワードの中にあるのではないか、と思う。ここに選出した10人の作家はジャンルや方法は違えども、そのような視点で私たちがこの土地に生み出した文化の価値を再び世界に問おうとする人々である。そして、そのような姿勢こそが、それぞれの地域文化が自立しながら結ばれる多様性を持つ文化的統一ビジョンを地球にもたらすことになると信じている。

リファーレ会場 隈研吾(入口から)

今泉今右衛門

城谷耕生

小曽川瑠那

青木千絵

植埜貴子

中村新喬

作業中の小曽川さんと植埜さん

漬物箱に入れて本人が持参した植埜作品